上述した様に、人の腸管に定着しているエンテロコッカスは血清学的に、Dグループが圧倒的であり他にKグループも存在する。特にエンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、及びエンテロコッカス・ボービスは典型的な、人の腸管における常在細菌として腸管に定着している。
我々の研究グループは、幸運にも、エンテロコッカスの探索(スクリーニングという)を行って、1,400株を過ぎたところでコレステロールを著しく低下させる、エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株を、世界で初めて発見することが出来た。
発見の経過については第Y章をお読み頂きたい。
腸内細菌研究の焦点を、エンテロコッカスに絞ってからでも、エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株を発見するのには、二年有余の歳月がかかりました。
その後、3年以上の年月をかけて15,000株以上のエンテロコッカスをスクリーニングしましたが、カワイ株以上の優れた菌は発見できませんでした。
つまり、皆さんの腸管の中にエンテロコッカスは沢山定着していますが、エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株のような、成人病や免疫など、前述したように優れた効果のある菌はいないのです。
それと同時に、皆さんの腸管の中に存在するエンテロコッカスは生菌であり、私のエンテロコッカス・フェカリス・カワイ株は死菌体であることを覚えておいて下さい。
(この本の冒頭で述べたアイデアの項を参照してください。)
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