腸内細菌の複雑な宿主(ヒト)への影響を理解するためには腸内細菌の実態及び、それを構成する細菌の生理的性状を知ることも重要である。
先ほどから述べているように、我々のは、エンテロコッカスに焦点を当てている。それはエンテロコッカスがヒトに対して重要な意味を持つからである。ヒトの回腸及び下部腸管では、エンテロコッカスが優勢な菌といわれますが、これはとりもなおさずエンテロコッカスの宿主への影響力が大きいと言う事です。
図37に、幼児と成人の糞便中のエンテロコッカスの分布を示しました。
エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウムについては、両グループとも安定した比較的、高い分布を示しますが、幼児だけ、エンテロコッカス・エビウムが検出されること、成人からは、エンテロコッカス・サリバリウス、エンテロコッカス・ミティスが多く分離される事などの大きな違いがあります。このように明らかにエンテロコッカスでは幼児型と成人型に違いがあり一方、エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムのように共通型も存在します。
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