この蛋白質はアポ蛋白と呼ばれ、脂質との結合や担体として重要である。それぞれのリポ蛋白(最低でも7種類)およびアポ蛋白(18種類以上)の種類は多い。しかし、動脈硬化の成り立ちの上から重要なのは低比重リポ蛋白(LDL)と高比重リポ蛋白(HDL)である。
LDLは、動脈壁などの抹消組織にコレステロールを運搬しているものである。他方、HDLは動脈壁などの組織のコレステロールを除去し肝臓へ運ぶ働きをしている。肝臓に運ばれたコレステロールは、主に胆汁酸に代謝(濾過)されていく。
その他、動脈硬化の進展に関与しているものにカイロミクロン(CM)、遺残型レムナントや中間型リポ蛋白(IDL)や超低比重リポ蛋白(VLDL)などがあげられる。
食事由来の脂肪は、腸管から吸収され、カイロミクロンとなって血液中に入る。この分野の研究は日進月歩であり、余りにも専門過ぎるのでこれくらいにしておきたい。
ただ最後に動脈硬化発症や進展に関与する因子の中には過酸化脂質や血小板あるいはホモシスティン(アミノ酸の一種)のように、必ずしもコレステロールや中性脂肪と関係が深くないと考えられている物もある。動脈硬化発症のメカニズムは、多種多様な要因がからみ、まだまだ明らかになっていないが少なくとも第1番目のリスクファクターが高脂血症であることは間違いなく、高脂血症を正常に戻すことは動脈硬化を予防するにあたって極めて重要なことと考えられる。
高脂血症には少なくとも6種がありコレステロールだけが高い人、中性脂肪だけが高い人或いは両方とも高い高脂血症患者が存在する。
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