コレステロールは糖質代謝や脂肪酸代謝により生体内で20数段階を経て生合成される生体内の全ての細胞が生合成能をもち、また、前述のように細胞膜の重要な主成分である。
したがってコレステロールは諸悪の根源どころか、人間が生きて行く上で無くては成らないものである。
又、コレステロールは腸肝循環を通じて脂質代謝(消化・吸収)に重要な働きをする。
胆汁酸に変換され、又、腸内細菌により不必要なものは2次胆汁酸やコプロスタノールとして便中に排泄される。
このように人間の体は恒常性維持(ホメオスタシス)のために腸内細菌の作用により不必要なコレステロールはコプロスタノールとして排泄されるようになっている。
以上のようにコレステロールは細胞膜の構成成分であったり、胆汁酸やステロイドホルモン等、生体にとって重要な物質の前駆体であり無くては成らないものである。
しかしながら、余分なコレステロールが組織に沈着すれば、動脈硬化になったり胆石症になったりして悪い作用をする事になるわけである。
近年、食事の西洋化に伴い肉食によるコレステロールの摂取量が増えてきており、子供達の魚嫌いやハンバーガー等を好むという話もあり、この子供達が老化して行った時の事が不安であると言われる老年科の先生方も居る。
すなわち余分なコレステロールを摂りすぎたりあるいは遺伝疾患で体内の余分なコレステロールが処理しきれない事により高コレステロール血症(高脂血症)となり動脈硬化へと進展していく可能性が高くなる。したがってあくまでも余分なコレステロールが病気の原因であって、適正量のコレステロールは生きていく上で不可欠である事を強調しておきたい。
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